ひたすらに 葡萄の種を 選り出して

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無償の愛をつぶやく Ⅱ

高尾 義彦

  ひたすらに 葡萄の種を 選り出して
(2014/09/05)
朝のデザートに、桃を食べ梨を食べ、最後に葡萄を二〇粒ほど。いまある葡萄を食べ切らないうちに、岡山の友人、高橋敬さん夫妻
から立派なマスカットが贈られてきた。自宅用に注文した酢橘も届き豊かな秋。
重陽に 昭和の記録 高みょり
(2014/09/09)
「昭和天皇実録」が公開され、戦前の天皇像と、戦後政治に「象徴天皇」が果たした役割が明らかに。個人的には昭和天皇逝去直前、日々、皇居や東宮御所を取材する記者の配置を決め、弁当を手配した当時を思い出す。

スーパームーン 携帯画像で 受けとめて
(2014/09/10)
昨夜は満月が最も大きく見えるスーパームーン。友人がメールで写真を送ってくれた。帰りが自転車だと、自然と空を見上げるが、昨夜は呑み会で自粛。満月を見逃した。俳句もたしなむ風流な友人に感謝。

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「緑の宝石」徳島スダチの魅力と蕎麦米雑炊-1
=「味の手帖」一七年六月号

高尾 義彦

 徳島名産のスダチ(酢橘) は、九月になると、露地ものが本格的に出回る。お世話になっている方々に、一キロ入りの箱で故郷の味をお届けするのが、十数年来の習わしになつている。東京に住んでいると、いつもこの季節が待ち遠しく、「緑の宝石」と冬つけて喜んでくれる人もいて、スダチの国の出身でよかつたと実感する。
配送をお願いするのは徳島県北東部、鮎喰川上流に位置する神山町の「すだちの里 神山」(「鬼籠野=おらの=ふるさと会」内)だ。
神山町は最近、IT企業を中心に東京などからサテライト・オフィスの進出が注目されている。都市部からの移住者も増えて、新たな顔を見せつつあるが、もともと山間部にあり寒暖の差が激しく、香りのよい高品質のスダチが収穫できる。
スダチ生産日本一の神山町 スダチの生産高は全国で六千トン前後だが、九八%は徳島で生産され、神山町はその四分の一を占めて全国一を誇る。昨年は本格的な生産から六〇周年を迎え、歴史や農家の活動などを紹介する4K映像の映画が製作された。
スダチの実を扁扁摘む作業は、針のようなトゲで指を傷つける危険と隣り合わせの厳しい労働。高齢者がこの仕事を支えているのが現状だが、若い学生が実習で参加するケースもあり、後継者の育成が望まれる。徳島県では、ゆるキャラのマスコットとして「すだちくん」を採用、さまざまなイベントで、なくてはならない存在になつている。
スダチは搾って松茸や秋刀魚などの焼き魚にかけたり、鍋料理、刺身、湯豆腐や冷奴などに香りと繊細な味を添えて、万能の力を発
揮する。「スダチ焼酎」も定着している。夏場は冷たいそうめんに欠かせず、輪切りにしたスダチを蕎麦が見えないほどにたつぷり乗せ
たスダチ蕎麦は、東京でもいくつかの店で味わうことが出来る。