無償の愛をつぶやく Ⅱ
高尾 義彦
香水を まとつて梅雨の憂さ晴らし
(2016/06/02)
香水というよりオーデコロン。朝の風呂上り、気持ちを引き締め、加齢臭など気になる言葉は追い払って清々しく。梅雨に向かい、気持ちが晴れない時に備えて我流の予防策。
古九谷の 図録が届く梅雨半ば
(2016/06/08)
「九谷吸坂窯」。石川県加賀市で古九谷の美を追求する硲紘一、海部公子さんの作品を収録した図録。全作品カラーでずしりと重い。丸浜江里子さんから贈られた。子供時代に石川県に住み、九谷焼には親近感。
文学碑 みなチヨポチヨポや夏芦屋
(2016/06/05)
作家、小田実さんの文学碑が芦屋市のあしや喜楽苑に完成し除幕式があつた。人生の同行者、画家の玄順恵さん、一人娘のならさん、澤地久枝さん。碑文は小田さん自筆の 「古今東西 人間みなチョポチョボや」
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特別寄稿
手拭い下げてお江戸の銭湯-8
=「人生八馨」 一五年
春季号・第二巻
高尾 義彦
さらにお風呂とのかかわりを思い出してみると、石川県に住んでいた、もっと幼い頃、山中温泉や山代温泉、片山津温泉などに、家族連れで出かける機会が何度かあつた。どこかの温泉宿でピンポンを楽しみながら聴いた「お富さん」が、初めて覚えた流行歌だつた。
祖父には一度、反抗したけれど、決して風呂嫌いではない。いまは毎日、朝と夜の二回、マンションの風呂に入る。朝は裸になって十数種類のストレッチ体操に二十分ほどかけて、これが健康維持に欠かせない習慣となつている。
と、この原稿を書き終えた後の二月十八目の毎日新聞朝刊都内版 「だいあろ~ぐ東京彩人記」 欄に、日本銭湯文化協会長の高橋元彰さん (七七) が登場していた。都内の銭湯は十年前の1077軒から663軒(一月末現在)まで激減した状況に触れながら「東京五輪・パラリンピックの選手村に大銭湯を作りたい」と、裸の国際交流の夢を語っていた。
高橋さんは港区芝で「萬歳湯」を経営し、「銭湯検定」を二〇〇九年に始めるなど浮世風呂の伝統を守る活動を続けている。
「萬歳湯」にも是非、手ぬぐい片手にポチヤンと飛び込みたい。あれこれ古い記憶も呼び起こしながら、今年はお江戸の銭湯巡りを堪能したい。いずれ、その報告が出来ることを楽しみにしながら。
この項 了