無償の愛をつぶやく Ⅱ
高尾 義彦
ビアガーデン チラシで誘うがちと早い
(2017/05/15)
夕方、JR有楽町駅から出たところで、「ビアガーデンやってます」と声をかけ、チラシを配る男性たち。先週あたり、夏日もあつたので、「ビールを」という気分も否定できないが、今日はうす曇りで気温も上がらなかつた。
フルートと挙(こと)が仲良く沙羅の花
(2017/05/13)
福原信男&大熊篤史の共演に、ソプラノの奥脇泉さんたち。初台の東京オペラシティ・近江楽堂で、雨の中、楽しい演奏を聴いた。「花に寄せる調べ」と題して、宮城道雄作曲「初便り」など。大熊さんが、連れ合いの生け花の先輩のお弟子さんという縁。
母の日に 母の姿のいま昔
(2017/05/14)
母の十三回忌も過ぎて、花を贈ったり声をかける人はいない。母から子へ、子から孫へ、孫も母親になつて、それぞれに母の姿がある。長い時間のつながりの中で、一人一人の幸せを願う。まだ二歳前後の頃、母と一緒に撮った写真を飾り、時々、手を
————
特別寄稿
手拭い下げてお江戸の銭湯-5
=「人生八馨」 一五年
春季号・第二巻
高尾 義彦
夕方五時過ぎだったので、それほど混んでなくて、若者やちょつと癖のあるひげもじやの男など客は七人。身体を洗って超音波の湯船に入る。江戸の銭湯らしくかなりの熱さだか、我慢できないほどではない。あとで四三度と知った。いったん上がって、普通のお湯の湯船にも身をゆだねる。温度はほぼ同じで、二つとも大人が三人も入るとちょっと窮屈に感じるほど小さい。新入りがあちこち眺めるのも失礼か、と十五分ほどで上がって、脱衣場へ。着流しの男性が椅子に座ってスマートフォンをいじっているかたわらを、入ってきた外国人が通り抜ける。着替えをしていた若い男性二人は関西なまりで、観光のついでという風情だった。「金春湯」を利用する客筋に興味がわくが、取材は控えて外へ。
帰りは晴海通りを走って、歌舞伎座を左手に眺め、勝間橋を渡る。もんじゃの店がひしめく月島通りには「月島温泉」があり、早めにトライしたいところ。佃二丁目の自宅マンションには二十分ほどで帰着。すぐそばにある住吉神社に向かう佃小橋を渡ると、右側に「日の出湯」。ここはマンションと銭湯が一体になつていて、名前を記した煙突がリバーシティーの高層マンションを背景に高くそびえて、存在感を示している。いつも自転車で有楽町駅まで通勤している入船通りの途中には 「湊湯」(湊一丁目)がある。この三軒が日頃、気になつている銭湯の三羽烏だ。
記憶に残る銭湯の思い出と言えば、高知県土佐郡大川村・白滝鉱山に住んでいた小学校六年生の頃にさかのぼる。父親が日本鉱業に勤務していた関係で、小学校時代はヤマからヤマの転校生活。その最後が海抜八〇〇メートルの白滝で、冬には滝も白く凍る寒さだつたことから、この名が生まれたと言い伝えられる。