明けましておめでとうございます。
本年もツイッター俳句を宜しくお願いします。
高尾 義彦
住専、豊島、司法改革-3
中坊公平さんの三回忌
=「人生八馨」一五年
夏季号・第三巻より
生前は一体となって苦労をともにしてきた中坊さんに、最近のだらしない自分を責められていると痛切に感じて、以来、酒を断つことにしたという。「なんにも言わず、じっと睨まれているようで」。安岐さんが最初にこの話を打ち明けてくれたのは、この一か月ほど前に上京した時だった。ビールで乾杯しようと声をかけたら、烏龍茶を手に取った。屈強な身体つきの安岐さんが「烏龍茶で乾杯」を貫く姿には違和感があったが、禁酒はまだしばらく続ける決意が表明された。
翌日は、廃棄物撤去の作業が進む現場を案内してもらった。参加者はヘルメットにマスク、足元は長靴姿で、あちこちに汚染水が溜まった大きな穴があき、一部にドラム缶などの廃棄物がそのまま積み上げられた現場を歩き、目の前に、冒頭に記した光景が広がっていた。確かに以前に比べれば、廃棄物の捨て場は大きくえぐり取られ、その限りでは処理が進んでいるのだが、汚染地中のどの深さまで及んでいるかは、今後の調査を待たなければならない。
中坊さんは生前、淳子夫人を伴って何度か、島を訪れている。夫人を仕事の現場に同行することはめったにないことで、美しい島を取り戻す目を目指して、困難な仕事に挑んだ成果をいつ′か二人で確認したかったのでは、と島民らは推測する。一昨年5月3日に83歳で亡くなり、その夢は実現しなかっただけに、安岐さんたちは、このままでは終わらせない、と決意を新たにしている。
島の住民が育ててきたオリーブは昨年の収穫で、上質なオリーブオイルを生産出来るまでに実績を積み、島の土産物店に置かれている。この夏はオリーブの実を予約販売する計画も動き出している。二十数年に及ぶ島民の運動を心に刻み後世に伝えようと始めた「島の学校」は、当初の予定では十年で終了するはずだったが、現状を踏まえて今年の8月にも実施することになり参加者の募集を始めた。
島を離れる快速船から島を眺めながら、「豊島」を過去のものにしてはならないと、自分に言い聞かせた。自宅マンションのベランダには、豊島から運ばれたオリーブの木が育っているが、そのオリーブに託して、ささやかにでも豊島の人たちを支援できればと願う。
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若水や 空也が招く坂の道
(2017、1、3) 三日
元日は六波羅蜜寺へ。若水は元日に初めて汲んだ水。梅干しと昆布で健康長寿を祝うお茶を味わう。連れ合いの知人はよくこの寺に来て空也上人の像に手を合わせていた。