無償の愛をつぶやく Ⅱ
高尾 義彦
北あかり 富良野の実り 到来し
(2016/10/14)
北海道・富良野に住む知人から、じやがいもや玉葱が贈られてきた。異例の台風襲来で甚大な被害の傷跡が残る北海道だが、知人の菜園は大きな被害は免れたという。腹膜透析の治療を続けながら、畑に出て農作物を愛おしむ。心して、日々の食卓に。
惣誉(そうほまれ) 銀杏眺めて 昼の酒
(2016/10/15)
東大のホームカミングデー。「知」のシンポジウムを聞いた後、安田講堂前の銀杏並木の模擬店で、栃木の銘酒・惣誉を盲。その前後に、元「人魚の嘆き」の彩子さんから、パートて・の個展に届けた佃煮のお礼の電話。
八ヶ岳 九谷の器 風は秋
(2016/10/09)
小淵沢カントリークラブでゴ~フ。雨上がり、強い風に思わず「寒い」。近くにレストハウスを構えた西川安紀子さんは石川県出身。九谷焼販売から、東銀座で和風割烹の女将に。そして八ヶ岳山麓へ。断捨離と称し、山田龍山作の箱書付茶器をいただいた。
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「緑の宝石」徳島スダチの魅力と蕎麦米雑炊-3
=「味の手帖」一七年六月号
高尾 義彦
平家のレジェンド蕎麦米雑炊-1
これらの「地味」をいちいち紹介するスペースはないので、ほぼ徳島独特の食べ物と思われる「蕎麦米雑炊」だけをお披露目したい。
これは簡単に言えば、収穫された蕎麦を蕎麦粉に挽かずに、実を茄でて乾燥させて皮を取り除き、コメと同じように粒の状態で食する。鶏肉と昆布で出汁をとり、油揚げ、ニンジン、大根、ごぼう、干し椎茸、焼き竹輪などを入れて雑炊にする。酒や醤油、みりんで味をつけ、具材などは各家庭の好み次第だ。
蕎麦米雑炊は、平家の落人が逃げ延びた祖谷地方が発祥の地と伝えられる。険しい山地の祖谷地方では、蕎麦以外に穀物は育たず、落人たちは蕎麦を主食にして、都を偲びこの雑炊を考案したといい、農林水産省選定の「農山漁村の郷土料理百選」 にも選ばれている。
我が家では幼い頃から大晦日に蕎麦米雑炊を食べる習慣があつた。年越し蕎麦の代用だつたのかもしれない、懐かしい、温かい味が忘れられず、いまも大晦日に限らず、正月前後には何度か蕎麦米雑炊が食卓に上る。