無償の愛をつぶやく Ⅱ
高尾 義彦
葉桜が 好きと女のひとり言
(2017/04/14)
知り合いの女性がFBに「満開より葉桜の頃が好き」と。工場がある川崎・大川工場団地のオオシマザクラもほぼ葉桜に。太白の里帰りが話題になり、ロンドンからもメール。
(注)写真は本文とは全く関係ありません。NETからお借りしたものです。済みません)
目の奥に 花の記憶を重ね塗り
(2017/04/12)
この春もさまざまな花を見た。今朝は自転車で佃公園経由。花びらが敷き詰められた道は幸せなピンク色。先日の人間ドックでは、白内障の兆しはあるが、当面心配はない、と。
目の中に 飛び込む緑朝の街
(2017/04/16)
日曜日の朝は一週間分の食糧を買い込むためスーパーへ。自転車を引き出すと、あたりの緑が鮮やかに目に飛び込む。葉桜の緑や民家の軒先に並べられた植木など佃・月島は緑が多い。スーパーにはもう西瓜が並ぶ。
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特別寄稿
手拭い下げてお江戸の銭湯-2
=「人生八馨」 一五年
春季号・第二巻
高尾 義彦
ようやく第一歩を刻むことが出来たのが、今年のヴァレンタイン・デーの2月14日だった。自転車で上野の科学博物館に出かけた帰りに、銀座通りに出て、八丁目七番五号の金春湯に向かった。中央通りを四丁目から新橋方面に向かって走り、資生堂の角を右に曲がって花椿通りに入る。最初にぶつかる通りが金春通りなので、左に曲がるとすぐ、小さな「金春湯」のネオンが右側に見えてくる。50年以上前の記憶では、玄関が通りに面していたような気がするが、昨年春に全面的に改築したそうで、「金春湯」と染め上げた紺色の暖簾をくぐり自動販売機がある小道を少し入ったところが入り口になっていた。
正面に「わOPEN」と記した掲示板が立ち、その左側に下足が並ぶ。「わ」が何を意味するか、美大卒の女性が開いているホームページ「せんと♨ガール」によれば、「わ」と板に記しているので「わ(沸)いた」と解読し、お湯が沸いた、すなわち営業中を示す。営業時間は午後2時からと早く、仕舞湯は午後10時。ちなみにお休みの日は「ぬ」の字が書かれ、こちらは「ぬ(抜)いた」と読む。お湯を抜いた、の意で、基本的に祝祭日はお休み。2月22日の日曜日は本来ならお休みだが、東京マラソン当日なので営業します、と汗を流すランナーたちにはうれしい案内が掲示されていた。
下駄や靴を入れるロッカーが左側の壁にあり、その反対側を見ると、手前が男風呂、奥が女風呂になっている。ドアを開けると、左側の番台に小柄な眼鏡のお婆さんが座っていた。そっと入浴証を出すと、じっと検分するように見て、「珍しい名前ですね」。「紺屋高尾の高尾」と告げてみたが、通じたかどうか。
百円玉を置いて、タオルを借りられるか尋ねると、130円で販売しているというので、さらに小銭を置く。後で気づいたことだが、「金春湯」の名入りなら300円だという。記念に買っておけばよかったが、これは次の機会の楽しみに。