ゆすらうめ 桜に負けずベランダに
(2017/04/06)
山桜桃梅の花がベランダで満開に。楚々とした白い花。昨夜は門前仲町・大横川の桜を楽しんだ。新聞社時代の「三人娘」と。川面に伸びる花がボンボリの灯りに照らされて。また来年もこの花を。絶滅から救われ、英国から里帰りした「太白」の話題が新聞に。
シャガに雨 七宝に目を癒されて
(2017/04/08)
目黒の東京都庭園美術館に並河靖之・七宝展を見に行く。改築後初めてで、新しいギャラリーが別棟に。藤の花や蝶が描かれた作品は、気が遠くなるほど細かい線使いだが、見ていて気持ちが綺麗になるような。目黒川の花見に向かう途中にシャガの白。甘茶の日。
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特別寄稿
手拭い下げてお江戸の銭湯
=「人生八馨」 一五年
春季号・第二巻
高尾 義彦
「中央区敬老入浴証」なるものが手元にある。定期券大のカードに鶴と亀のイラストがデザインされ、65歳の誕生日直後に、区役所から送られてきた。それ以来、区内にある11の銭湯と、区は異なるが「入浴証」が利用できる千代田区2ヵ所所」江東区3ヵ所、計16ヵ所の銭湯を巡ることを、仕事を離れた後に挑戦したい計画の一つとして楽しみにしてきた。ところが古稀を迎える今年2015年もまだ現役なので、リタイア後を待たず、そろそろ実現しなければ、と思い立った。
最初に入浴する銭湯をどこにするか、それは最初から決まっていた。銀座の真ん中、金春通りにある「金春湯」である。なにしろ江戸時代末期の1863年創業だから、初風呂に選ぶ銭湯としては申し分ない。それだけではなく、新聞社に入社した1969年7月、研修期間に「町を歩いて、何かテーマを探して原稿を書け」と指示されて、思いついたのが「金春湯」だった。ある日の午後、この銭湯の入り口に立って、やってくるお客さんに、金春湯の魅力やどのくらいの頻度で訪れているのか、などこまごまとしたことを質問し、支給されたばかりのメモ帳を埋めた。
なにしろ、周辺には高級クラブやバー、料亭などが林立し、大学を卒業したばかりの身には、眩しい種族が生きている街に見えた。
この時は銭湯には入らず、新聞社に戻って短いコラムにまとめ、比較的好評だったことは覚えているが、内容は茫々として、記憶のかなたに消えてしまった。ただ、新米の新聞記者として、取りあえずの「取材」は、これが初めてであり、その体験がずっと心の底に残り、「入浴証」を手にしたとき、お江戸の銭湯巡りは銀座から、と自分に課していた。