アワガミ今昔・「和紙」にこだわる-4

Pocket

アワガミ今昔・「和紙」にこだわる-4
=「人生八馨」一六年春季号・第六巻より

 その後の出品作は、弁護士の故中坊公平さんの言葉から「現場に神宿る」(〇八年)、「竹」一文字と拙句「初蝉や 松山城の 一の門」(一一年)、「花有清香 月有陰」(一四年)。
前回は自費出版したツイツター俳句集「無償の愛をつぶやく」の題字も、おまけで展示してもらつた。次回の一七年にはどんな作品をものすることが出来るか。
冒頭に登場してもらつた金子さんとは湖心杜書展がきっかけで知り合った。〇八年に出版された彼女の著書「インキの魔法」 (幻冬舎ルネッサンス刊)一と、その年に目黒美術館で開かれた個展を、新聞紙上で紹介した。
パソコンやスマートフォンなどの発達で、若い人を中心に筆で和紙に文字を書く機会が減っている。自分では、季節の挨拶やいただきもののお礼など出来るだけ自筆(ただし万年筆)で、と心がけている。鳩居堂などの和紙の便箋に、水茎の跡も麗しい毛筆の便りをいただくのも嬉しい。
和紙が果たしてきた役割や伝統をもっと大切にしなければ、とそのたびに実感している。

寒の水 楮晒して和紙の里  村彦

———

うす紅く 椿の蕾ふくらんで
(2015・12・03)
 ベランダにある椿の曹が、紅く色づいてきた。長崎県・五島列島から送られてきた玉之浦椿。最初に蕾に気づいたのは九月だったから、ゆつくりとした成長ぶり。調べると、花弁は紅と白、二色の模様のようだ。