アワガミ今昔・「和紙」 にこだわる-1
=「人生八馨」一六年春季号・第六巻より
スペイン・バルセロナからメールが届いた。
今年一月末のことで、発信人は書道家の金子祥代さん。神戸在住の彼女は、国内だけでなく、世界各地で作品展を開いたり、背丈ほどにある太い筆を使って大きな文字を書くパフォーマンスを披露し、活動的な若手書道家だ。
「バルセロナに来ています。地元の紙を求めて紙の専門店に行ったら、なんとアワガミファクトリーのラックが!! 藤森さんにお送りしたら喜ばれるのでは? と写真を撮らせていただきました。ラックの印刷用紙の他にも、和紙がいくつかの棚にありました。凄腕社長ですね~」
アワガミファクトリーは、故郷・徳島県山川町にある和紙製造の協同組合組織で、代表の藤森洋一さんは、私の出身校である県立川島高校の後輩に当たる。わが故郷は、古くから和紙の里として知られ、一時は二〇〇戸を超える住民が紙漉きを業としていたが、いまでは廃れて、アワガミファクトリーだけが伝統を守る。しかも、守るだけでなく、さまざまな和紙を創作してフランスなど海外にも普及を図る。同時に海外からも版画家を始めとして芸術家たちを招き、アワガミを用いた作品展を開いたり、紙漉き体験や原料となる楮(こうぞ)や三椏(みつまた)の収穫を経験できる場を設けている。
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百度目の 窯炊き上げて秋個展
1016/10/2
群馬県赤城山麓に不可治窯を構える樺澤健治さんが新宿・京王デパートで個展。四月に、百度目の登り窯炊き上げを実現したことを記念して、丼に「百」と刻んだ作品を連れ合いが求めてきた。仙人のような容貌。