特別寄稿第2弾
講演「いま、なぜ田中角栄なのか」-12(最終回)
高尾義彦
=「人生八馨」一六年正月号・第五巻掲載から抜粋
「灰色高官事情聴取」の原稿は一面トップの扱いで、早い版ではもう輪転機が回っている。NHKがすでに大々的に報道しているのだから、他の新聞社も朝刊では一面トップで報道してくるのは間違いない。午前一時過ぎに本社に電話をかけて、「事情聴取は誤報です。しかし、うちだけ何も触れないわけにはいきません」と、お願いするしかなかつた。一社だけの特落ちは避けたほうが賢明、と浅知恵で考えた結果だつた。
夜が明けて、事情聴取を受けたと報じられた自民党のリーダーたちが検察庁に抗議にやってくる。それでも、検察の答えは暖昧で、夕刊段階では確たる検察の反応はない。「事情聴取はこれから行う」と検察幹部が認めたの
は夕方になつてからだつたから、「誤報」の第1報もやむ得ない判断だつたと、いまも思っている。
この二件を含め、報道に携わつた毎日新聞記者たちの行動は「毎日新聞ロッキード取材全行動」(講談社)に詳しい。この単行本を原作として日本テレビが二〇〇三年にドラマ「戦後最大の疑獄事件 ロッキード事件-その真実とは-」を制作、このドラマをめぐって、いまも解明されない謎が残った。
このドラマ制作に関しては、シナリオ段階からスタッフに協力した。〇三年十二月末には二時間半の枠で放映、との記者発表があり、スポーツ紙などにも報じられたが、放映は直前になつて中止された。その後、翌年二月の放映が再度、予告されたが、これもキャンセル。米国にもロケし、億単位の制作費用がかかつているとみられた番組が、お蔵入りしてしまった。
毎日新聞記者が活躍するドラマが読売系の日本テレビで放映されると考える方がおかしい、などの指摘もあつたが、放映中止の理由は明らかにされなかつた。
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ロッキード事件三〇周年の二〇〇六年二月には、同人である園木宏志さんの勧めでネット上の「メディア・レボリューション」に「ロッキード三〇年報告」 を十回、連載した (番外としてテレビ・ドラマ放映中止の詰も)。現在もネット上で読むことが可能です。
http://blogs.yahoo.co.jp/blognews2005/25234103.html
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金木星 薫り感じぬ人ありと(2016,10,02)
花粉症治療の後遺症で嘆覚が正常に機能しない人がいる。ここ数日、金木犀の薫りにあちこちで出会う。昨日は会社のゴルフコンペを、八王子市の武蔵野ゴルフクラブで。金木犀が花を着け、薫りを感じながらクラブを振る。スコアはさっばりだつたが。