氷雨降る春は名のみの歌も出ず 二七日
春は名のみか 風の寒さよ…。「早春賦」。脳梗塞で倒れた先輩の元社会部長は、薄れた意識の中でこの歌を繰り返し口ずさんでいたという。氷雨に、せっかく開花宣言した靖国神社の桜も、戸惑っていることだろう。
ベランダの椿ようやく花開く 二八日
五島列島出身で「人生八聲」同人の津村裕子さんが送ってくれた玉之浦椿。昨年暮れに蕾を確認後、花開くまで三か月以上も。濃いピンクと白の花弁に、中心の雌蕊は黄色が鮮やか。ただ一輪、凛とした姿が好ましい。
豊島から産廃消えて花見待つ 二九日
香川県は二八日、豊島に不法投棄された産業廃棄物の搬出が完了した、と発表した。公害調停成立から一七年。総量は九〇万八千㌧。ようやくごみの島の汚名を返上するが、汚染地下水の浄化や跡地利用が課題。安岐正三さんはツツジの花見に断酒解禁か。
忌部の地歴史語って濁り酒 三日
忌部(いんべ)は大和朝廷成立に力を尽くした阿波の氏族集団。麻や粟など農業技術を関東に広めた。伝統を守る三木家を昨日、剣山の近くに訪ね、当主三木信夫さん(八一)と囲炉裏を囲み濁り酒。