俳句&エッセイ
無償の愛をつぶやく
高尾 義彦
日脚伸ぶ寒気はいまだ去らずとも 十二日
夕方五時頃、会社を出る。まだ暗かった数日前に比べ、いまは同じ時間でも明るさが残っている。今日は帰り道、満月を見た。ちょっとした偶然に、反応し、感動できる喜び。
ヴィーナスに厚いコートを送ろうか 十五日
世界的な寒波襲来。友人二人と続ける連句で「ヴィーナスに紅いマントを着せかけて」。今日は寒を避けて終日、自宅で書道。明日の書道クラブ新年会に持参する作品「花香鳥聲」。
雪見酒筋肉痛をなだめつつ 十七日
列島各地の雪景色や除雪の光景を見て、数年前の大雪でマンション周辺の雪かきに汗を流したことを思い出した。スコップなどの用意がなく十分な除雪は出来なかったが、住人たちから「ご苦労さん」と声をかけられた。
雪が降るシャンソン少し口ずさむ 二〇日
雪は降る あなたは来ない……。東京に雪がちらついた朝、アダモのシャンソンを思い出した。原詞は一部しか覚えていないけれど、いつかカラオケでこの唄を。
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紅ほっぺ年賀の酒のお礼にと 二一日
紅ほっぺは静岡で開発された大粒の苺。茶道のお師匠さんから連れ合いが貰ってきた。新年会に銘酒「加賀鳶」をお送りしたので、そのお礼にとの心遣い。贈り物が行ったり来たりでは切りがないが、有難く。