葬儀におカネをかけない「地味葬」が増加-2

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「富家孝著・SB新書「死に方」格差社会より}

第8章 「死に方格差」を乗り切るには?

葬儀におカネをかけない「地味葬」が増加-2

 日本消費者協会が調査した「葬儀についてのアンケート調査」(2010年度報告書)というのがある。これによると、葬儀一式費用(葬儀社への支払い) の全国平均は約126・7万円。3年前の同調査と比較すると15・6万円減っている。
このようなデータから、それにそってご自身の葬儀を考える必要はもちろんない。ただ、社会の傾向がこのようだと、エンディングノート上も「地味葬」とされる「家族葬」が増えていくだろうと思う。
葬儀におカネをかけないという点では、「献体」という方法もある。私の周囲にも献体を選択している人間は多い。
献体とは、本人の意思で、遺体を医学生たちの解剖授業、研究のために提供すること。
いわば、最後の社会貢献と言える行為である。だから、昔は「おカネがかからないですむ」という理由で献体を選択することはなかつた。しかし、最近は違うのだという。
献体運動を推進する公益財団法人「日本慧献体協会」(東京)によると、統計を取り始めた1970年度の登録者は約1万人に過ぎなかったのに、2014年度に芳人を超えたという。
たとえば、生前に献体登録を行っておき、登讐が亡くなつたときに献体先に連絡すると、死亡診断手続ききをすませた後に、遺体を引き取りに来てくれる。遺体は大学病院に運ばれて、学生たちの授業に使われ、その後、火葬される。そうして1年後に合同慰霊
祭が行われ、遺骨になつて遺族の元に戻ってくる。献体組織としては、篤志献体組織として最大規模の「白菊会」や「不老会」、順天堂大学の「白梅会」などが有名だ。
いずれにせよ、人生の最期に向けてどんな選択をするかで、死に方は大きく違ってくる。
ということは、そこに至るまでの生き方も大きく違ってくるということである。