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「富家孝著・SB新書「死に方」格差社会より}
第8章 「死に方格差」を乗り切るには?
自己負担の「1割から2割へ」は確実-1
もう一つ、75歳からなるべく医者の言うことを聞かないようにしなければならない理由に、金銭問題がある。これは今後避けては通れない現実問題として、高齢者を直撃する。
財務省の財政制度等審議会財政制度分科会は、2015年4月27日の会合で、今後の社会保障制度をどうするかを議論した。その結果、今後5年間で2兆円から2・5兆円の社会保障費の伸びを抑制する方針を決め、診療報酬改定について 「マイナスが必要」という結論に達した。そして、その一案として挙げられたのが、「75歳以上の医療費の自己負担
の2割化」 である。
つまり、今後は、後期高齢者になっても医療費の負担が増え続けるのだ。これまでの医療保険から後期高齢者医療保険へ自動的に切り替えられ、新しい保険証をもらうことになっている。この後期高齢者医療制度では、病院や診療所の窓口負担は、原則1割である。
しかも、その負担には上限が設けられている。この上限は 「限度額」と呼ばれ、所得に応じて決められている。所得が多い人(現役並みの所得がある人)は3割負担となるが、それ以外の人は1剖負担である。
たとえば、1剖負担者の限度額は、入院で1万2000円、外来+入院の場合は4万4400円となっていて、それを超えると限度額を超えた金額が払い戻される。