「免疫療法」を代表する二つのワクチン-3

 富家孝講師の略歴は上部の「プロフィール」をクリックしてください。
「富家孝著・SB新書「死に方」格差社会より}

第8章 「死に方格差」を乗り切るには?

「免疫療法」を代表する二つのワクチン-3

 ただし、前記したように、こうした療法は高額だ。ハスミワクチン療法を行っているクリニックに私が訊いたところ、樹状細胞療法は1回につき40~50万円という。1カ月で4回やれば、なんと200万円はかかる。
これほど高額になる理由は、ワクチンの研究・開発、設備投資、人件費に多大なおカネがかかるからである。つまり、免疫療法にかぎらずガンの先進医療とされるものは、富裕層しかその恩恵を受けられないようになっている。
東京にあるいくつかの免疫療法クリニックには、そうした患者が押しかけている。また最近では日本の患者ばかりか、中国人富裕層の患者も多く訪れている。
もし、これらの免疫療法が本当にガンに効くことが証明されたら、どうなるだろうか?
富裕層だけの治療法が、保険適用されて、誰でも受けられるようになるのだろうか?
日本の国民皆保険制度の下では、誰もが、平等に医療を受けられるということになっている。しかし、それはあくまでタテマエで、本当のところは 〝ある程度″までということだ。つまり、この先、先進医療がどんどん認可されていくなどということは起こらない。
とくに、混合診療が解禁されれば、この傾向が強くなるだろう。
ただ私は、富裕層の方にも、率先して先進医療を勧めることはしていない。おカネがあり余っているなら別だが、ガンが末期なら、最期までご自身の生活を十分に楽しむことにおカネを使ったほうがいいと思うからだ。
おしいものを食べ、温泉に行く、海外旅行に出かけるなどしたほうが、よほどいいと思う。