「免疫療法」を代表する二つのワクチン-2

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「富家孝著・SB新書「死に方」格差社会より}

第8章 「死に方格差」を乗り切るには?

「免疫療法」を代表する二つのワクチン-2

 丸山ワクチンと同じようなものに、蓮見喜一郎博士が開発した〝ハスミワクチン″がある。こちらも認可されていないが、丸山ワクチンもハスミワクチンも進化を遂げていて、現在のワクチンは昔のものとは違っている。
しかし、厚労省は認可する姿勢を見せたことはない。最近では、免疫療法の一つ「活性化自己リンパ球移入療法」というものが、高度先進医療に認定され、保険適用を目指したことがあった。これは、血液中から採取したリンパ球を増殖させて、点滴によって体内に戻す。そうして、ガン細胞を叩くというものだつたが、有効性が確認されず、2006年に高度先進医療を取り消されている。
先進医療はいつまでも庶民のものにならない
とはいえ、免疫療法はいまも研究・開発が続けられている。ガン細胞を叩くには免疫細胞を活性化させるという考え方は間違っていないため、いくつかの大学痛院やガンの専門病院、研究所で、臨床研究としての治療が行われている。
もちろん、民間でも同じようきとが行われている。ただし、こちらは、医療行為として行われている。
たとえば、ハスミワクチンのクリニックでは、「HI↑Ⅴ療法」というガン治療を行っている。これは、数年前に、免疫を担当する白血球の一つで樹状細胞(DC)という細胞がガン細胞を発見するために重要な役割を果たしていることがわかり、これを活性化するワクチンを開発したためだ。
免疫には、二つの要素がある。一つは、免疫が正常細胞とは違う異型細胞(つまりガン細胞)を認知する働き、もう一つはそれを排除する働きである。
樹状細胞はいずれの働きもあるという。HI↑Ⅴ療法では、最先端の免疫療法を施したうえで、患者の樹状細胞をガン細胞に直接打ち込む。これは、自動車にたとえて言うならハイプリット車、「ハイプリット免疫療法」である。