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「 富家孝著・SB新書「死に方」格差社会より}
明けましておめでとうございます。
第7章 信頼できる医者の探し方、選び方
外科医は手術の技術によって評価される-2
しかし、外科医だけは、現場仕事である。端的に言うと、外科医は「切ってナンボ」の世界である。術後の結果も「成功・不成功」が端的にわかりやすい世界である。つまり、有名大学教授というような肩書きは意味をなさず、またどれほど素晴らしい研究をしたかどうかより、同じ手術を何回∵」なしてきたかという手術職人としての技術が求められる。
外科医は、野球で言えば出場試合数(手術症例数)や打率(成功率)などがハッキリしている。つまり「名医の基準」はより具体的で、素人にもわかりやすい。実際、手術症例数の多さは、手術成功率の高さにも結びついている。
もともと腕のいい外科医は手術の依頼数も多いから、さらに腕が磨かれb。現場に立つ回数が多いため、ありとあらゆる手術1の困難を前もってシミュレーションできるし、手術中のハプニングヘの対応にも長けている。
これが、外科医選びの最大のポイント、大前提である。
第7尊 信頼できる医者の探し方、選び方 自分の名刺を渡してくれる医者は信用できる。たとえば心臓外科の世界では、年間150~200の手術を高い成功率でこなす医者は、国内に100人以下しかいない。しかし、専門医と称する人は約1800人いる。正直なところ、それ以外の医者から心臓手術を受けるのは危険とさえ言える。手術症例数はそれほど大事である。
私の知人に、地方の大学病院で冠動脈癌の手術を受け、最終的に寝たきりになり、最後は胃壕を付けさせられて60代半ばで死んでしまった人間がいる。あとで聞くと、その手術をした医者は、手術数が極端に少なかった。地方だから、仕方ないかもしれないが、遺族はいまも「あのとき東京に行けばよかった」と、後悔している。
手術中の患者は、どのような体調の変化に見舞われるかもしれない。だから、手術数の多さは大事なのである。そして、もう一つ大事な点は、外科手術が体力勝負という点だ。
何時間にもわたる難手術になればなるほど、体力が必要になる。
さらに瞬時の判断力も大事だ。おっとりとした性格で、なにごともスローな人間は外科医には向いていない。手術ではなにが起こるかわからない。患者の状況は、刻々と変化する。したがって、この状況に冷静に対応しっつ、日頃鍛えた腕と体力、そして瞬時の判断力で外科医は勝負する。