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「富家孝著・SB新書「死に方」格差社会より}
第7章 信頼できる医者の探し方、選び方
多発する医療過誤事件の背景にあるもの-1
ここで、かかりつけ医、主治医の問題をクリアした先にあることを考えてみたい。それは、かかりつけ医、主治医では対処できない疾患にかかったときである。
まず言えるのは、みなさんが病院に行くのは、なんらかの自覚症状があったときである。
そうして、その自覚症状が重大な疾患だと判明したら、医者は紹介状を書いて、ツテのある専門病院、拠点病院、大学病院などを紹介する。
とくに、日本人の3大死困とされる「ガン(悪性新生物)」「心疾患」「脳血管疾患」などでは、この照会先の医者によってみなさんの人生は大きく変わってしまう。とくに手術を受けなければならないケースでは、外科医の質、技量が問われるからだ。
私が患者さんから受ける相談でもっとも多いのが、「いい外科の先生を紹介してくれませんか?」である。実際、じつに多くの方が、たとえば「心臓外科手術はいまかかっている病院ではやりたくない。外科医の腕が信用できないからです」「直腸ガンと診断されました。手術を受けるとしたら、どこの病院で、どの先生がいいいか教えてくれませんか?」 などと訊いてくる。
つまり3大疾病は「生きるか死ぬかの病」であり、命は助かっても後遺症に苦しむ可能性があることを、患者さん、あるいは家族の方々は知っているのだ。
私もこのことを否定しない。否定しないどころか、外科医の場合、医者選びに失敗すると取り返しのつかないケースがあることを、これまでたびたび指摘してきている。
それは、医療過誤事件が多発していることを見れば、みなさんもおわかりだろう。
じっは、私はこれまで医療過誤事件を厳しく批判してきた。というのは、世の中で事故が起こるのは仕方ないとしても、他の事故(交通事故など)に比べ、医者だけが責任追を免れるケースが多いからだ。
つまり、いい加減な医者、技術的に劣る医者にかかった場合、患者さんとその家族の苦悩は大きすぎるからだ。