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「富家孝著・SB新書「死に方」格差社会より}
第7章 信頼できる医者の探し方、選び方
「レセプト」の水増しと「差額ベッド」押し込み--1
カネの亡者の病院では、「検査漬け」「クスリ漬け」はまだましなほうで、保険料の「不正請求」もよく行われている。不正請求というのは、ひと言で言えば「架空請求」である。
つまり、処置してもいないことを処置し、出してもいないクスリを出したように見せかけることだ。
こうした医療処置は「レセプト」(診療報酬明細書)に記載されるが、いまのところ、一部をのぞいて医者側にこれを開示する義務はない。ただし、患者本人や家族は開示請求が可能だから、このレセプトの開示を求める患者も多くなり、「診療報酬明細書」を領収書といっしょに出すことが義務化された。その結果、不正請求は減ったとされるが、まだまだ水面下では続いている。
痛院による不正行為は、レセプトだけではない。患者の無知をいいことに、「差額ベッド」に押し込んでしまうということも平気で行われてきた。健康保険の効かない自己負担のベッドを差額ベッドと呼ぶのは、みなさんもご存知と思う。
この差額ベッドに関しては、使う場合には、病院側は患者本人にあらかじめ承諾を得決まりになっている。ところが、それをしない病院が後を絶たず、退院時に患者との間でトラブルになるケースが多い。カネの亡者の医者ほど、患者が気がつかなければいいと思っていて、平気でこれをやるのである。
医療費をめぐる不正がメディアでも大きく問題視された2007年、厚労省はあるデータを発表した。それによると、2006年の1年間で、124の医療機関が不正請求を摘発されて監査を受け、歯科医師24人、医師17人が保険医登録を取り消されている。また、
そこまでいかなくても、個別指導を受けた医療関係者は、なんと約7000人に上った。
そこで、こうした不正を防ぐために、厚労省では2007年から診療報酬の不正請求対策として、架空請求や水増し請求などの不正を摘発する「医療Gメン」と呼ばれる指導医療官を増員した。
じつは、不正請求を防ぐのはレセプトを電子化してしまえばいい。おそらく、全部電子化してしまえば、不正はずっとやりにくくなり、不正があれば容易に発見できるはずだからである。