病院の約7剖が赤字という現実の意味-1

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「富家孝著・SB新書「死に方」格差社会より}

第7章 信頼できる探し方、選び方

病院の約7剖が赤字という現実の意味-1

 

日本の病院の約7割が赤字経営である。地方の多くの病院は自治体などからの補填がないと、経営が成り立たなくなっている。また、町医者、いわゆる個人病院も経営がうまくいっているところは少ない。
そんななか、多くの医者たちは真面目に仕事をしている。最近は病院に所属しないフリーター医者も増えたが、それでも日本の医者は本質的には真面目だ。ただし、真面目だということは仕事を教えられたとおりにこなすことにつながるので、それが個々の患者さんにとって弊害をもたらすことも多い。
前記したように私は「間違いだらけの医者選び」という講演でよく地方に出かけるが、そうしたときつくづく思うのが、多くの方が、意外と医者が本当はなにをしているのかを知らないことだ。
日本人は真面目だから、みなさん、医者を尊敬し、信頼している。医者は先生だから、間違ったことはしない。病気を必ず治してくれると信じて病院通いを続けている。つまり、ある意味で、ご自身の健康を医者任せにしてしまっている人がほとんどである。
しかし、医者から言わせていただくと、多くの医者は真面目だとしても、なかには信頼できない医者もいるということだ。つまり、単に医者だからといって全面的に信頼してはいけない。
そこで私自身の話をさせていただくと、私はかつて病院を経営していたことがある。それは、1980年代前半のことで、当時は景気がよかったから、私はいけいけドンドンだつた。それで、老人向け病院を3軒、歯科医院を2軒、クリニックを2軒、接骨院を1軒
と、8軒もの医療機関を次々にオープンさせた。
しかし、いま思うと私には経営者としての才覚がなかった。いくら景気がいいとはいえ、それは過剰投資で、その結果、経営に行き詰まり、最終的に病院を潰してしまった。
当時のことを思うと、私はとてもいい医者だったとは言えない。病院の経営ばかりに頭がいっていて、患者さん個人のことなど二の次だった。だから言えるが、病院に行くときは、その病院の経営状態がどうなのかを知っておくことも極めて重要だ。