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{富家孝著・SB新書「死に方」格差社会より}
第6章 どうしたら健康で長生きできるか?
一
1日2食で「腹7分」のカロリー制限が理想的
腹八分というのは、昔からの私たちの知恵である。私たちの祖先は、「空腹のほうが体にとってよい」ことを知っていたのである。つまり、常にお腹がいっぱいであるより、お腹が空いている状態のほうが健康というわけだ。
そのせいか、最近では、1日3食を止めて2食にする人が増えている。また、医師の南雲吉則氏にいたっては、1日1食生活を実践しており、『「空腹」が人を健康にする』(サンマーク出版、2012)という本まで書いている。
しかし、食べなければいいといっても、本当に腹八分でいのだろうか?という疑問がある。
そこで、注目されているのが、カロリー制限である。カロリー制限というと、ダイエットでもっとも大切なことだが、これは健康法、長寿法でもあったわけだ。
じっは、カロリーを制限すると寿命が伸びることは、1930年代にラットの実験結果のメカニズムについては長い間不明だった。
ところが、前記したように、2000年にアメリカのマサチューセッツ工科大の研究グループが、サーチユイン遺伝子の働きが、その一因であるということを突き止めたのである。つまり、まだ判明して10年余りしかたっていないのだが、この210年余りで、世界中でカロリー制限運動が起こつてきた。
いまやアメリカでは、「カロリー制限委員会」という組織まで誕生している。ここの会員は、成人男性が1日に必要なカロリー摂取量の約7割に抑える生活を実践しているという。これがいちばん効果的なのだという。
っまり、腹8分でなく、「腹7分」というわけだ。
日本でも、カロリー制限を実践している高齢者は多い。日本の成人男性の摂取カロリー2000+ー200カロリーとされるので、この量の7割を摂るとすると、一日1400カロリー+-140カロリーとなる。とすれば、日々の食事で摂取するカロリーをこの範囲で抑えれば、私たちは健康で長生きできる。
ただし、ここで注意したいことがある。
それは、適切とされるカロリー摂取量の5割を切ると、かえって寿命は縮むという研究結果があることだ。空腹といっても、徹底してやるのはよくないのである。
理想的なのは、1日2食にして適切量の7剖を取り、空腹時間を長くすること。たとえば、夕食は夜8時までに取り、翌朝まで絶食時間を長くする。こうすると、夜寝ている間にもサーチユイン遺伝子が働いてくれる。