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「富家孝著・SB新書「死に方」格差社会より}
第3章「老化」と「病気」は違うもの
完治しない病気とどう付き合うのか?-4
{腎不全}慢性になると、人工透析で延命をはかる以外に手はない。
腎臓病になる原因疾患は、糖尿病や肥満、高血圧などの生活習慣痛とされている。腎臓病がやっかいなのは、初期には自覚症状がないことだ。目で見て尿に異常があるかどうかは、一般の方にはわからない。だから、10年以上にわたって無症状で経過した後に診断されることが多い。
慢性腎不全になると、体内の老廃物を尿中に排泄できなくなり、体中にむくみが現れたり、血圧が高くなったり、貧血を起こしたりする。約1割の人は自身の免疫力の回復で助かるが、放置しておくと昔は尿毒症を起こして死んでしまうケースが多かった。
それが、いまは人工血液透析で生き延びられるようになった。血液透析では、体の中にたまった尿毒素が捨てられ、体に不足している物質が補われる。これで、患者さんの寿命が約15年は延びた。
しかし、透析は患者さんにとっては大きな負担で、1日おきに病院に行かなければならない。
そして、透析には4~5時間がかかる。こうなると、社会生活はまともにできなくなるので、仕事は辞めざるをえなくなる。
だから、若い人が腎不全で透析が必要になった場合は、本当にかわいそうである。現代医学では、どうやっても50歳までは生きられないからだ。
もちろん、腎臓移植手術で治すという方法もある。これが末期腎不全の唯一の根本治療と言えるものだが、順番待ちである。
日本には腎不全透析を受けている患者が約30万人いて、そのうち約1万2000人が献腎移植の登録をしている。
しかし提供される腎臓は少なく、希望がかなえられる人は年間1300人ほどである。