「人はなぜ老化するのか?」の最新研究-1

 

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{富家孝著・SB新書「死に方」格差社会より}

第6章 どうしたら健康で長生きできるか?

「人はなぜ老化するのか?」の最新研究-1

最近は長寿の研究が盛んである。
つまり、人はなぜ老いるのか? なぜ死ぬのか? といぅことの研究だ。「不老不死」は人間の昔からの願いだから、これが解明できれば、不死とはいかなくとも、寿命は延びるはずである。ただし、「老化(エイジング)」に関しては、いまだに諸説があり、どれも解明されていない。
老化研究のアプローチとしては、実際の長寿者(100歳を越える「百寿者」=センテナリアン)に着目する方法、生命の基本単位である細胞に着目する方法がある。
この細胞に着目した研究では、大別すると二つの説がある。一つは、ストレスや紫外線などの環境要因によって、細胞内に有害物質が発生し、機能低下が進んで老いるというもの。たとえば、一般にもよく知られている活性酸素によって身体がダメージを受け、老化が発生するという「フリーラジカル説」がこれに当たる。
もう一つが、遺伝子によって老化や寿命が規定されているとする説。たとえば「プログラム説」では、それぞれの細胞には分裂できる限界がはじめから決められていて、その回数を越えて分裂できないとされている。最近は、遺伝子に最初から老化を促進させたり抑制させたりするものがあるという説、つまり「長寿遺伝子」の存在も知られるようになってきている。