睡眠時問と寿命の関係、長すぎてもいけない-1

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{富家孝著・SB新書「死に方」格差社会より}

第6章 どうしたら健康で長生きできるか?

睡眠時問と寿命の関係、長すぎてもいけない-1

あなたは1日に平均して何時間、睡眠を取っているだろうか? 8時間とすれば、それは1日のうちの3分の1は寝ているということであり、「人生80年」とすると約27年は寝ているということになる。このことから、「人間は寝るために生まれてきたのか」と嘆く人もいるが、実際、睡眠を取らないと生命は維持できない。
これまで多くの「断眠実験」が行われてきたが、断眠3、4日目になると被験者に錯覚や幻覚が生じたことが報告されている。つまり、完全な徹夜を2晩以上続けると、身体的には持っても精神的にかなり危険な状態に陥る。
そこで、やはり睡眠は長く取ればいいと思いがちだが、じつはこれも間違いだということがわかっている。
歳をとると睡眠時間が短くなる傾向があるので、「よく寝たほうがいい」と思っておられる方がいる。しかし、調査では寝すぎてもいけないのだ。「よく寝れば長生きできる」というのは間違いなのである。
たとえば、カリフォルニア大学の調査によると、通常の睡眠時間が6・5~7・4時間の人の死亡率がもっとも低く、それより短くても長くても死亡率が高いという結果が出て
いる。日本の調査でも同じような結果が出ている。つまり、健康な生活を送るには「適正な睡眠時間」があるということで、それはだいたい7時間であるということだ。
では、医学的に睡眠はどんな意味があるのだろうか?
それは、睡眠が起きている問の活動で傷ついた細胞を修復するということだ。とくに大事な点は、脳細胞の修復である。睡眠が足りていない状態が習慣化すると脳がダメージを受け、いくら眠っても修復不可能になってしまうのである。寝不足が一時的なら細胞が修復できるが、数日間も続くと修復不可能になる。断眠3、4日目で幻覚が現れたり精神的なバランスが崩れたりするのはこのためだ。