なぜ青森県は日本一の短命県なのか?-2

 

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{富家孝著・SB新書「死に方」格差社会より}

第6章 どうしたら健康で長生きできるか?

なぜ青森県は日本一の短命県なのか?-2

この後、知事は「ヘルスリテラシー」(健康教養)という言葉を取り上げ、塩分を摂り過ぎたり、泊っぼいものを食べ過ぎたりしないことを強く訴えている。
こうしていま、青森県は全県を挙げて「減塩運動」に取り組んでいる。塩分を減らす方法として、だしのうま味を生かすことに着目。だしの素材となる農林水産物が豊富なことを活かして、学校給食用と家庭用のオリジナルのだしパックを開発した。また、野菜摂取量を増やすことにも取り組んでいる。
県では野菜料理レシピ集のキャンペーンなどを行っている。
厚労省が呼びかけている成人の1日当たり野菜摂取量350gを下回っているからだ。
ちなみに長野県は塩分の摂取量が全国2位と高いにもかかわらず、男女とも350gを超えている。                      斗
こうした健康への取り組みは、素直にいいことと評価したい。ただし、医者として思うのは、平均寿命を延ばすことだけが目的ではあってはならないということだ。
なぜなら、いくら長生きしても、寝たきりになったり、ボケてしまったりしたら、それは本当の意味での寿命が延びたことではないからだ。要は、健康寿命を延ばすことである。
じっは私は、青森県が短命の最大の原因は、医師不足にあるのではないかと疑っている。
日本の医者はどんな末期の患者でも、無駄な延命治療を行う。その結果、半年や1年、寿命は延びる。前記したように、青森県の男性の平均寿命は76・27歳、女性は84・80歳である。これに対して日本一の長寿県の長野県は、男性79・84歳、女性86・57歳である。つまり、その差はほんのわずか、2~3歳だからだ。
このわずかな差は、本当は医療格差なのではないだろうか?