医者が儲からない「長寿日本一」の長野県-2

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{富家孝著・SB新書「死に方」格差社会より}

第6章 どうしたら健康で長生きできるか?

医者が儲からない「長寿日本一」の長野県-2

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じっは、医者なら知っているが、長野県は医者がもっとも儲か
らない県の一つである。長野県の1人当たり後期高齢者(老人)
医療費は、全国の県のなかで下から4番目、脳卒中死亡率も低い。
現在、後期高齢者医療費の全国平均の90万4000円だが、長野
県は77万3000円と13万1000円も低いのである。
こうしたせいで、長野県の開業医は、次のようによくボヤく。
「地域の人たちの健康意識がこんなに高いと、開業医はやってい
ルりません。
い」
公的病院は補助金があるからいいが、われわれ町医者は患者が少ないと苦し
というわけで、長野県の長寿の秘密は、じつは地域の健康増進・病気予防運動にある。
地域の人と人がつながり、地域社会全体で、健康と長生きを目指してきたからだ。
長野県では戦後間もなく、須坂市で「保健指導員」という地域住民による自主的な活動
が始まっている。この保健指導員を中心にして、長野県ではこれまで、県内全域で「栄養
改善」「減塩活動」「ウオーキング」などに取り組んできた。
こうした取り組みでとくに有名なのが、「PPK運動」(PPKはピンピンコロリ=元気に
生きて病むことなくころりと死ぬこと)である。これが発展して「県民減塩運動」が行われ、
たとえば、「味噌汁は1日1杯」「そばやラーメンの汁は半分残す」「漬物は1日につき小
皿1杯」等の食生活スタイルが徐々に広まっていった。
こうして、長野県では医者がボヤくように、病人が減ったのである。また、食生活も変
ゎり、たとえば、20歳以上の男女の野菜摂取量は全国トップである。
長野県の保健補導員は基本的にボランティアで、任期は通常2年。現在、約1万人の保
健補導員がいるという。

人は一人では生きられない。長寿も一人では達成できない。長野県の例に、私たちが学  ∽
ぶことは多いのではないだろうか。