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{富家孝著・SB新書「死に方」格差社会より}
第6章 どうしたら健康で長生きできるか?
「メタボの次はロコモ」というキャンペーン
現在、厚労省では健康寿命を少しでも延ばすことを目標にしている。厚労省の目標は、2022年度の平均寿命を男性が81・
15歳、女性が節・87歳と推計し、ここでの健康寿命の延び幅を平均寿命の延び幅より上回らせることだ。
それで、いま盛んに言われているのが、「メタボの次はロコモ」である。厚労省では、「ロコモ」のキャンペーンに乗り出している。
ロコモとは、”クロコモティブシンドローム〟(運動器症候群)の略語。ここで言う運動器とは、骨や関節、筋肉などのことで、年齢を重ねるごとにその機能は衰える。そうして、最終的に介護が必要になったときを「ロコモ」と呼び、日頃からロコモにならないように心がけましょうというのだ。
もちろん、ロコモには国民の健康・長寿を図る以上の目的もある。それは、医療や介護の費用の増加を抑えることだ。
まあ、それはいいとして、冒頭に述べたように、平均寿命まで健康で生きたいなら、70歳を目処にして、私たちは日頃からなにかを心がけなければならない。健康でないなら、いくら長生きしても幸せとは言えないからである。
そこで、参考になるのは、日本整形外科学会が勧める「ロコトレ」である。これはじつに簡単なトレーニングで、自宅でできる。
ロコトレは何種類かあるが、代表的なのは、目を開けたままの片足立ち運動(ロコトレ1‥開脚片脚立ち)だ。
これは、転倒しないように、たとえば机やテーブルなどつかまるものがあるところで行い、片方の足を床に着かない程度に上げる。次にもう片方を上げる。
これを左右1分間ずつ繰り返し、1日3回行うというもの。
もう→つ、こちらも簡単で、椅子に腰をかけて、机やテーブルに手をついて腰を浮かす運動(ロコトレ2‥スクワット)だ。これを深呼吸するペースで5~6回線り返し、l日3回行う。
次ページの【図表4】がこの二つの運動の図解である。これを参考に試してみたらいかがだろうか?
これらの運動ができていれば、「自力でトイレで用を足せる状能が保たれている」という。
また、ロコモのチェックポイントも用意されている。たとえば、「家の中でつまずいたり滑ったりする」「階段を上がるのに手すりが必要だ」「15分ぐらい続けて歩けない」
「片足立ちで靴下がはけない」などの項目が並ぶ。この項目が一つでもあれば、ロコモ化していることになるので、要注意だ。
まだ、50代、60代の方だと、まさかこんきとを自分がやるようになるとは想像できないだろうが、いずれ、そのときはやって来る。
だから、健康で長生きを望むなら、できるだけだけ早くロコモ対策をするしかない。
このように、長寿とは努力が必要なのである。これはいい死に方にも直結する。
ところで、うがった見方をすると、誰もが健康で長寿でいい死に方(自然死やピンピンコロリ)をすると、医者は儲からなくなる。