「平均寿命」と「健康寿命」の大きな差


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{富家孝著・SB新書「死に方」格差社会より}

第6章 どうしたら健康で長生きできるか?

「平均寿命」と「健康寿命」の大きな差

「何歳まで生きたいですか?」と訊くと、たいていの人は 「やはり平均寿命までは生きた
いですね」 と答える。一般的な日本人なら、みなさんそう思っているのではないだろうか。
そこで、あらためて平均寿命を見ると、男性が80・21歳、女性が86・61歳である。これは素晴らしいことで、私たちの日本は世界でも誇るべき長寿大国と言える。
ところが、この平均寿命の実態はというと、本当はあまり誇れないのだ。というのは、第5章で述べたように、平均寿命より「健康寿命」のほうが、私たちにとってははるかに大事だからである。繰り返し書くが、私たちの健康寿命は、男性は71・19歳、女性は74・21歳である。
健康寿命を「介護の必要がなく健康的に生活できる期間」「他人の助けを借りずに自立して生活できる」とすれば、その上限の平均が、男性が71・19歳、女性が74・21歳というわけだ。
厚労省では4年ごとにこの調査を行っており、2014年の調査ほ23万世帯余りを対象にしている。その4年前の2010年は、男性が70・42歳で、女性は73・62歳だったから、
男性で0・78歳、女性で0・59歳、健康寿命は延びたことになる。健康寿命がこのように少しでも延びたのは手放しで喜べる。
しかし、問題は、前記した日本人の平均寿命が、男性が80・21歳、女性が86・61歳であることだ。つまり、健康寿命は平均寿命よりも、男性で約9歳、女性で約12歳も短いのである。
これは、私たちが平均寿命で死ぬと仮定すると、男性で約9年間、女性で約12間、健康とは言えず、1人では生きられない期間があることを示している(あくまで統計として)。
つまり、男女ともに70歳を超えてからは、健康ではなくなっていくということである。
「70歳を境にして1人で生きるのが困難になる」というのは、衝撃的である。もちろん、個人差はあるだろうが、ここを目処に私たちは、自身の死をより身近に考える必要があるからだ。