日本は世界一の「寝たきり老人大国」-2

日本は世界一の「寝たきり老人大国」-2

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「富家孝著・SB新書「死に方」格差社会より}

第5章 こんな検査・治療は拒否していい
日本は世界一の「寝たきり老人大国」-2

病院も数多くの病床が、寝たきり老人で占領されている。
日本の病院は、欧米の医者から見ると、患者を必要以上に長く入院させている。なにしろ、向こうでは盲腸では1日入院、出産でも2日入院が一般的だ。骨折で手術後はすぐにリハビリに入る、ところが、日本ではどんな病気でも入院期間が長い。とくに高齢者になると、3カ月や半年ということもある。その間、無駄な検査が行われ、過剰治療が進む。
その結果、患者はベッドで寝たきりになり、筋力が衰え、顕までボケてくる。胃療をつけている患者さんも多い。しかし、欧米の病院では胃棲息者はほとんどいない。その理由は、「胃療は人間の尊厳を損なう」からだという。つまり、ガンなどで終末期を迎えたら、口から食べられなくなるのは当たり前で、胃壕や栄養点滴で人工的に延命を図るのは、逆にヶ老人虐待″というのだ。
このような考え方を知ると、たとえば養護施設で胃棲を外さないように両手を縛られて
いる高齢の認知症患者を見ると、はたしてこれでいいのかと思う。
欧米の老人ホームでは、入居者の部屋の鍵はへルパーが管理するという。日本のように入居者に鍵を渡さないのだ。
鍵を渡してしまうと、食事やアクチィビティ後、部屋に戻ってすぐに横になってしまうからだそうだ。
日本が「寝たきり老人大国」になった原因はいろいろある。医療から言うと、前記したように延命治療をやり過ぎたこと。リハビリ医療、リハビリ施設が整っていないこと。実際、リハビリ施設や理学療法士などは不足している。
また、患者側からすると、なんでもかんでも病院、医師に任せきりにすること。さらに、文化的に、欧拳とは考え方が違うことなどがある。欧米は椅子の生活が基本だから、それができなくなるとク人間ではない〃と考えることもある。畳生活が中心だった日本人とは、この点で大きく違っている。
いずれにせよ、私たちは健康寿命という観点からも、これまでの考え方を変える必要があるだろう。私はこういう検査や治療は受けたくない、私はこういう医者と病院はご免こうむりたいという基準を明確に持っておくことが望まれる。