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「富家孝著・SB新書「死に方」格差社会より}
第5章 こんな検査・治療は拒否していい
日本は世界一の「寝たきり老人大国」-1
過剰な検査、無駄な検査が行われると、過剰な治療、無駄な治療が増ゝろる。それが行き着く先は、私たちの人生の終末期に悲劇となって訪れる。
そこで注目しなければならないのが、「健康寿命」である。これは、健康で日常生活を不自由なく送れる期間を、人間の本当の寿命とするという考え方だ。
日本人の平均寿命は着実に伸びてきたが、じつは、」僅廉寿命の伸び率は平均寿命の伸び率を下回っている。
平均寿命が伸びてきたというのに、健康寿命がなかなか伸びないというのは、医療が「健康で長生き」には効果を発揮していないということではないだろうか?
2013年時点の健康寿命は、男性が71・19歳(平均寿命80・21歳)、女性が74・21歳(平均寿命86・61歳)となっている。つまり、私たちは人生の後半の約10年間を”不健康”で過ごさなければならないのである。
あまり知られていないが、日本はじつは 「寝たきり老人天国」である。
これほどまで多くの高齢者が、ほぼ寝たきりで毎日の生活を送っている国は、世界でも珍しいのだ。
おそらくこれは、世界のほかの国から見れば過剰とも言える検査と医療によって引き起こされたと考えられる。
欧米から日本に来た医者が医療現場を見て驚くのが、「なんでこんなに寝たきりの老人が多いのか」ということだ。たとえば、欧州の国々では、病院や老人ホームなどの施設に「寝たきり老人」はほとんどいない。アメリカも同じだ。
アメリカのリタイアメント施設に行くと、ほとんどの入居者が元気で、スポーツをしたり、バーベキューをしたりして老後を楽しんでいる。ところが、日本の老人ホームは、車椅子の老人や、寝たきりの老人、あるいは痴呆状態でベッドに寝たままの老人が多い。