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「富家孝著・SB新書「死に方」格差社会より}
第5章 こんな検査・治療は拒否していい
設備投資の償却費用は患者から回収する-2
若手の正義感の強い医者が、よくこぼすことがある。
「事務長からまた通達が出たんです。最近、超音波診断件数が減っているので、検査件数を増やしてくださいと。そんなこと、簡単にできますか」
この病院では、検査ノルマというものがあり、それに満たないとこのような通達が出る。
検査機器のリース代や償却費用を捻出するためだ。個人経営のクリニ㌧クでも、こうした事情は同じだ。たとえば、クスリには有効期限というものがあるので、使い切らないと破棄しなければならない。そこで、「有効期限切れ間近のクスリは、早めに処方をお願いします」と経営側から医者に指示が出る。
こうした通達・指示に、「私は患者さんのことを第一に考えているので、そんなことはできません」と、現場の医者が言えるだろうか?もし、そうしたら、その病院は経営危機に陥るかもしれないのである。病院やクリニックの収入は、医者が行う医療行為からしか発生しない。医者や看護師、事務員の給料から、機器のリース代、家賃、光熱費まで、すべての経費を考慮すれば、「患者第一」などという㌢れいごとは、ほとんどの場合通用ー ール泣か甘その結果、「念のためにレントゲンを撮っておきましょう」
「CTをやれば、より詳しく診断できますよ」などと言って、必要のない検査が行われているのである。