「富家孝著・SB新書「死に方」格差社会より}
第5章 こんな検査・治療は拒否していい
(2)血圧‥基準値にとらわれず、高血圧は「90+年齢」を目安に-2
ところが、1970年代に入ると、世界保健機構(WHO)が、上を160以上、下を95以上と規定したので、日本でも160/95以上を高血圧とするようになった。その後長い間この数値が使われたが、1993年にWHOと国際高血圧学会(ISH)が正常値の範囲を「上が140未満、下が00未満」と変えたので、日本でもこれが使われて今日まで続いてきたのである。
しかし、WHOの指針では、140/90は「境界域高血圧」で、「毎日の生活に気をつけましょう」という程度の話。高血圧とは規定していなかった。それなのに、日本では140/90を高血圧としてしまったのである。したがって、2014年の新基準は、昔に帰っただけとも言えるのだ。
そこで、結論だが、血圧というものは歳をとるとともに上がるのが自然なものだ。これが世界の常識で、全年代に共通する正常値などありえない。また、年齢別血圧と死亡率に相関関係はない。よく「血圧が高いと死亡率が高まる」と言うが、これは、年齢が上がれば死ぬ人が増えるという事実を無視している。さらに、降圧剤を服用すれば血圧は下がるが、服用で長生きできるかどうかはデータがない。逆に、高血圧群の患者さんの死亡率が上がったのは、血圧を下げすぎた結果という追跡データもあるくらいだ。
そこで、昔のように 「90+年齢」を、ご自身の血圧の目安とすることをお勧めしたい。