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「富家孝著・SB新書「死に方」格差社会より}
第5章 こんな検査・治療は拒否していい
主な健康基準値はこうして判断する-3
実際、最近の厚労省研究班の多目的コホート研究では、男性はBMI23~26・9の人の死亡率が低い。また、大阪大大学院の磯博康教授らの10万人調査では、循環器疾患全体でいちばん危険度が低いのは、男性でBMI23~24・9、女性で25~26・9となっている。
さらに、東京都老人総合研究所の調査によると、腹囲85Cm前後、BMI23~25の人はむしろ死亡率がいちばん低くなっている。
これは、日本ばかりではなく、アメリカのある調査でも、BMI25~29・9の「過体重」の人の寿命が最長となっている。
ということは、多少メタボのほうがずっと健康なのである。
つまり、メタボ健診と保健指導はある意味で、健康な人まで病院送りにし、その結果、健診費や指導費などの医療費をかえって膨らませているのだ。これは、メタボ健診ばかりでなく、ほかの健診結果(数値)にも言えることだ。
”本当は健康な病人″が大量生産される背景を考えてみると、二つの理由が浮かんでくる。
一つめの理由は、なにか異常なほどの「健康ブーム」だ。私は、この状態は行きすぎと考えている。
もちろん、人間はいつも健康であることにこしたことはない。しかし、本当に健康な人とは、むしろ、ときどき風邪をひいたり、体調を崩したりするものだ。そのほうが自然であり、まったくなんの病気もしないなどということは、人間が機械でない以上あ
りえない。
そしで、二つめの理由は、やはり医者のモラルの欠如だろう。つまり、そんな気はないのだろうが、いまの多くの医者は、自覚しようとしまいと、結果的にできるかぎり多くの人間を病気にしてしまっているのだ。
というわけで、BMIに関しては、新基準値のほうが目安として適している。25を超えても心配はなく、いままでどおりの生活を続けていてかまわないと私は思う。あまりに太り過ぎは問題かもしれないが、むしろ20以下のほうが問題で、やせ過ぎると病気になるリスクが高まるので、カロリーをきちんと摂取したりして、健康に気をつけていただきたい。