主な健康基準値はこうして判断する-2

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「富家孝著・SB新書「死に方」格差社会より}

第5章 こんな検査・治療は拒否していい

主な健康基準値はこうして判断する-2

T)体格(BMI)は小太りのほうが長生き。20以下のやせ過ぎの方が問題あり。

BMI(体格指数)とは、体重を身長の二乗で割ったものを言い、たとえば身長164cmで体重64kgの男性はBMI25で「肥満」と判定されてきた。従来の基準値には男女差はなく、男女とも25以下が正常(肥満ではない)とされてきたからだ。
ところが、新基準値では、男性は18・5~27・7、女性は16・8~26・1が基準値とされた。つまり、基準値は緩くなったのである。
私に言わせれば、新基準値のほうがべターである。従来のものは厳しすぎて、しかも、現実的ではないからだ。とくに高齢者の場合、多少肥満であっても寿命には関係ないし、死亡リスクがもっとも低いのは22~28という調査研究もあるからだ。
むしろ、やせているほうが問題が多いのである。
厚労省では2008年度から日本医師会とともに、通称「メタボ健診」(メタボ診断)を実施してきた。これは、それまで行われてきた健廉診断に腹囲測定を加えたもので、これによって、男性でウエストが85cm以上、または85cm未満でもBMIが25以上の人は、「メタポ∴またはその予備軍)」(=肥満)と認定されてしまうことになった。そうして、企業は、社員にメタボがいれば、医師や保健師、管理栄養士などを通じ、社員に対して生活習慣改善のための支援を行うことが義務付けられた。要するに、ダイエットを国が命じるのが、このメタボ健診である。
私はかつて、『「小太り」のすすめ』(光文社知恵の森文庫)という本を書いたことがある。
これは、国が決めた「標準体重」など守る必要はないと訴えたもので、「小太り」のほうが健康であると、これまでの健康常識を覆そうとしたものだった。
というのは、痩せて抵抗力の弱った体ほど細菌に狙われやすいし、糖尿病患者のうち肥満者は4割に過ぎないというデータもあったからだ。つまり、無理してダイエットをするより、適度な運動をし、食事と酒を楽しめば、肥っていても健康だと言いたかったのである。