「ガン」と「ガンもどき」は別物という説-2

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「富家孝著・SB新書「死に方」格差社会より}

第4章 ガンで死ぬということについて。

「ガン」と「ガンもどき」は別物という説-2

結局、ガンは治らない。老化現象だからだ。
悪さをするガンとしないガンは判別できないガンが発見されたら、外科手術によって患部を切除する。そして、術後は転移を防ぐにために、抗ガン剤治療や放射線治療を受けるというのが、いまのガン治療の常識的なパターンである。しかし、発見されたガンが、その性質によってどうなるのか決まっているとしたら、このような治療はあまり意味を持たないことになる。
これは、ガン手術を長年やってきた外科医なら、経験的にわかっていることだ。たとえば、年齢が同じで進行度が同じような食道ガンの患者さんが、2人いたとしよう。医者としては、この2人に同じような手術を施し、抗ガン剤、放射線治療をする。
ところが、ひとりのほうは、すぐに再発し、残念なことに1年後には亡くなってしまいました。ところが、もうひとりは5年生存率を越えて長生きし、その後もまったく元気だった。
この差を考えれば、やはりガンには2つの種類があり、亡くなった患者さんのガンは「悪さをするガン」と考えるしかない。とすれば、この外科医は、その患者さんの死期を、手術をしたために早めてしまった可能性がある。手術、抗ガン剤、放射線治療をすると、人間の体はバランスを崩し、体力も落ちる。そうすると、ガンは進行度を速め、ますます悪さをすると考えられる。
だから、良心的な外科医なら、患者さんを早死にさせてしまったことで心を痛める。
たとえば、75歳以上の後期高齢者のなかには、ガンが発見され、医者から手術を勧められても、「もうこの年ですから手術をしません」と決断される方がいる。そして、実際、90歳を超えるまで元気で生きた方を私は何人か知っている。
ただし、やっかいなのは、放置しても問題がない「悪さをしないガン」と、死に至る「悪さをするガン」の区別がつかないことだ。
よく「かたちの悪いガン」「顔つきのわるいガン」と言われるが、それは見た目の話であって、ガンそのものの性質は、いまの医学では判別できない。