「ガン」と「ガンもどき」は別物という説-1

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「富家孝著・SB新書「死に方」格差社会より}

第4章 ガンで死ぬということについて。

「ガン」と「ガンもどき」は別物という説-1                 ∫

さて、ひと口にガンと言っても、一般的に「5大ガン」と呼ばれる肺ガン、胃ガン、肝臓ガン、大腸ガン、乳ガンを始めとして、食道ガン、膵臓ガン、前立腺ガン、勝胱ガン、腎臓ガン、子宮ガン、頭頚部腫瘍、血液腫瘍(白血球、リンパ腫など)、皮膚腫瘍、胆嚢ガン・胆管ガン、上部尿路ガン、精巣ガン、卵巣ガンなど、ガンができる部位によって、その性質は異なっている。
また、その進行具合によって、一般的に「早期ガン」「進行ガン」「末期ガン」 の3段階に大別され、それぞれの段階によって医学的な処置の方法が違う。
よく言われているのが、「進行ガン」 になると、たとえばガン細胞が広がり、ガンができた粘膜層を越えて筋肉層まで達しているため、治る確率が低くなるということだ。さらに、末期ガンになると、すでにリンパ節や周囲の組織に浸潤し、他臓器にも転移しているので、さらに治る確率は低くなる。
しかし、この一般的な見方に大きく異を唱える考え方が表明され、たくさんの支持者を集めでいる。提唱したのは、ベストセラー『患者よガンと闘うな』文春文庫、2000)の著者・近藤誠医師だ。近藤氏は画期的な”ガン放置療法〟を提唱している。
近藤氏によれば、ガンが治るか治らないかは、初めから決まっているという。ガンには、それ自体が持っている性質があり、治るか治らないかは、発見されたときの大きさや進行具合に必ずしも関係ないというのだ。すなわち、ガンが発生したときのガン細胞の性質で決まっているというのである。
つまり、ガンには2種類あって、一つは進行して大きくはなるが、周囲の組織には広がらず転移もしないガン。もう一つは、進行が速く、周囲の組織に浸潤し、転移もするというガンだ。
前者のガンは、放置していてもそれほど問題ない。症状も出にくく、命取りになるような”悪さ”はしない。しかし、後者のガンは、いくら手術や処置をしても、浸潤や転移を繰り返す〝悪さ″をするので、治ることはなく、残念をがら長生きは望めない。
近藤氏は前者のガンを「ガンもどき」と呼んでいる。つまり、ガンには「ガン」と「ガンもどき」があるのだ。私も、多くのデータ、所見から見てこの考え方は間違っていないと思っている。
そうでないと、同じようなガン治療を受けて助かる人と助からない人がいること、また、ガンと宣告されてなんの処置もしなかった人が長生きしたということなどの説明がつかない。
ガンには、「悪さをするガン」と「悪さをしないガン」がある。そうとすれば、ガンが治るか治らないかは、初めから決まっているということになる。