なぜガンで死ぬ人が増えているのか?

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「富家孝著・SB新書「死に方」格差社会より}

第4章 ガンで死ぬということについて。

なぜガンで死ぬ人が増えているのか?

ご承知のように、日本人の死因の第1位はガンである。
厚生労働省の資料では、2012年にガンで死亡した人は36万963人(男性21万5110人、女性14万5853人)で、これは、1985年の約2倍である。
いまやガンは、「国民の半数がかかり、3人に1人が命を落とす」という国民病になつたと言える。
しかし、これはガンが増えたことでも、ガンが治らなくなつたからでもない。
前記したように、ガン細胞は体内で何年も何十年もかけて増殖する。
だから、人間自身が早死にしてしまえば、ガンが大きくなる時間がない。
現在、日本人の平均寿命は男が約80歳、女が約86歳である。
ところが、100年前は40~50歳だった。
これはあくまで平均寿命で、65歳まで生きた方は平均して90歳まで生きるとされている。
このように、世界でもトップの「長寿国」になったことで、ガン患者とガン死亡者が増ぇたのである。
この先、日本人の寿命はさらに延びる可能性がある。
たとえば、仮に100歳まで生きられるとしたら、おそらく、半数以上の人がガンが原因で死ぬことになるだろう。
ただ、実際はガンを抱えながら、老衰で死んでいく。
解剖医によると、「老衰で亡くなった高齢者を解剖すると、ばとんどの人にガンが見つかる」という。
これは、それまで悪さをしなかったガン、発見できなかったが、すでにできていたガンと考えられる。
つまり、たとえ死因は老衰としても、高齢者のガンは当たり前のごとと考えるべきなのだ。
だから、生きている問にガンが発見されて、それで最期のときをどう生きるか考えられるのは、ある意味で幸運なことかもしれない。