生存率を知ることでその後の生き方が変わる-1

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「富家孝著・SB新書「死に方」格差社会より}

第4章 ガンで死ぬということについて。

生存率を知ることでその後の生き方が変わる-1

最近つくづく思うのは、ガン宣告が当たり前の世の中になったことである。患者さんもご家族も、一部をのぞいて「ちゃんと言ってくれる」ことを医者に望むようになった。
ひと昔前は、ガンを発見しても患者さんにそれを告げることはできなかった。私が医者になつたころは、ガン宣告はおろか余命を宣告などしたら大変なことになった。
それで、肺ガンの場合は「肺真菌症ですね。肺にカビが生える病気です」と言い、胃ガンの著は「胃潰瘍です」と言つて手術するのが当たり前だつた。
それが、いまでほ患者さんに、ガンのステージ(進行度)から治療法まで伝え、さらに目安となる「生存率」まで伝えるようになつた。
だから、患者さんも必ず生存率を訊いてくるようになり、「あと何年生きられるか」(余命)を知りたがる。
しかし、生存率、余命はそこまで当てになるものではない。末期でどうやつても助からない場合を除いて、統計どおりに人が死ぬわけがないからだ。
とはいえ、生存率は、ガン患者さんにとつては、やはりいちばん重要な指標である。
ガンという病気の性質上、ほかの痛気のような完治はありえをいとしても、いちおうの目安とされるのが生存率だからだ。
その生存率のなかでも、前記した5年生存率がもつとも重要である。
これは、5年間、再発も転移も見られずに順調ならば、その先もほぼ問題ないだろうと考えていいからだ。
生存率はパーセントで表されるので、100%に近いほど治ったと考えていい。ただし、ガンの種類によって、生存率は大きく異なる。これが、ガンをひとくくりにして説明できない大きな原因だ。たとえば、前立腺ガンのように、末期を除いてほぼ100%生存というガンもあれば、膵臓ガンのようにステージ1でも30%強の生存率というガンもある。
また、いちがいに生存率と言っても、じつは、調査対象者特性(性別や年齢)、ガンの進行度などによってバラつきが出るうえ、統計を取っている病院ごとでも異なっている。