いくら治療しょうとガン細胞をゼロにはできない-1

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「富家孝著・SB新書「死に方」格差社会より}

第4章 ガンで死ぬということについて。
いくら治療しょうとガン細胞をゼロにはできない-1

ついこの前までガンと言えば「不治の病」とされてきた。
それが、いまではガンにもいろいろな種類があり、場合によっては治るケースもある。また、進行度いかんによってはそれほど恐れるものではないというふうに、イメージが変わってきた。
しかし、それでも「早期発見すれば治る」「先進治療を受ければ治る」「名医にかかれば治る」など、多くの人はガンに対して誤ったイメージを持ち続けている。
まず、第3章で述べたように、この世の中には、医者がどうやっても治せない病気がいくつもある。
その筆頭が、ついこの前まで「不治の病」とされたガンである。最近は治療法が劇的に進化して、早期発見で手術をすれば治ると思われているが、けっしてそうではない。
そうでなければ、早期発見で手術したのに死んでしまう人がいたり、進行ガンとされたのに治療を拒否して生き続けている人がいたりすることを説明できない。
つまり、ガンが治るということに関して、はっきりした定義は存在しない。第3章で述べたように、医者は「治癒」「完治」「寛解」という三つの言葉を使うが、ほとんどのケースで、症状が落ち着く「寛解」までが精いっぱいである。なぜなら、転移・再発の可能性を否定できないからだ。
手術後5年以上元気に暮らしたとしても、それを完治(=治った)と言えるかどうかはわからない。