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「富家孝著・SB新書「死に方」格差社会より}
第3章 「老化」と「病気」は違うもの
完治しない病気とどう付き合うのか?-4
{肝炎・肝硬変}A型肝炎は別として、B型肝炎の半数、C型肝炎の約1割の人以外は治らない。
肝臓が悪くなると、発熱、黄痘、全身倦怠感などの症状が出る。こうした肝臓病は、主に肝炎ウイルスの感染が原因で起きるが、日本では肝炎ウイルスのうち、A、B、C型が多い。
A型肝炎は1度かかると永久免疫ができ、再感染することがない。つまり、安静にしていれば自然に治るので問題はない。しかしB型は、たとえば100人かかると50人は自分の抗体をつくつて治してしまうが、残りの50人はこれができず完治は望めない。B型肝炎は、経口感染や空気感染することはなく、原則として個人から個人へ血液感染する。感染してもまったく症状が出ない不顕性感染の人も70~80%いると言われているが、約10%の人が慢性肝炎へと移行してしまう。
この場合、治療薬は大きく分けて二つある。一つは肝炎ウイルスの増殖を抑える抗ウイルス剤(インターフェロン)、もう一つは肝臓の炎症を抑える肝庇護薬だ。
C型肝炎もまた血液感染だが、B型より抗体をつくる人が圧倒的に少なく、こちらは約1割に過ぎない。その結果約9割の人は、早くてほ年、遅くてお年で肝硬変になる。C型肝炎ウイルスは感染力が弱いので、単に血液に触れたぐらいでは感染しないが、感染しても気づかないことが多く、そのまま7~8割の人が慢性肝炎に移行してしまう。こうなると、自然治癒は極めてまれで、放置しておくと初期肝硬変から後期肝硬変、肝ガンに進行してしまう。
慢性肝炎になると、体のだるさや吐き気、食欲不振などの症状が出るが、初期には自覚症状はほとんどないので、要注意だ。慢性肝炎と診断された人の大半は、検診などで偶然見つかったケースが多い。症状が出てからよく使われるのが、インターきロン。最近のインターフェロンは改良されてよくなったが、初期のインターフェロンは、うつ病や糖尿病になるという副作用が強かった。
インターフェロンは肝炎ウイルスの増殖を抑え、ウイルスの核酸を最終的に破壊する。
しかし、人によってはまったく効かず、やり続けたために溶血性貧血になって死んでしまった例が報告されている。
とはいえ、C型肝炎の治療薬はどんどん進歩しているので、慌てずに病気と付き合っていくことが肝心だ。