ガン治療における「治癒」「完治」「寛解」の違い-1

 富家孝講師の略歴は上部の「プロフィール」をクリックしてください。
{富家孝著・SB新書「死に方」格差社会より}

第3章 「老化」と「病気」は違うもの

ガン治療における「治癒」「完治」「寛解」の違い-1
このように、風邪だけを見ても、痛気を治すことには限界があるのだから、老化が引き起こす病気に関しては、「完治は無理」ということを前提にして考えていかなければならない。
私は、60歳を超えて発症した病気は、ほぼ老化の兆候と考えるようにと、患者さんに言っている。
そうして、自身の老化と真剣に向き合うことが、いい死に方をする道であるということを提唱している。
とくに、ガンの場合は、「完治」ということはほぼありえない。
ガンの治療を行った場合、その後の経過として、医者の問では次の三つの表現が使われる。「治癒」「完治」「寛解(かんかい)」の三つである。
このうち、「完治」と「治癒」はほぼ同じ意味だが、発見が遅れた進行ガンでは、こうなることはほとんどありえない。また、ガンの種類によっては「寛解」が最大限の治療結果ということもある。
「寛解」というのは、一般的に病状が落ち着いており、臨床的に問題がない程度になったことを言う。