病気は「免疫力」の低下で発症する-2

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{富家孝著・SB新書「死に方」格差社会より}

第3章 「老化」と「病気」は違うもの

病気は「免疫力」の低下で発症する-2

2015年5月末から、お隣の韓国でMERS(マーズ‥中東呼吸器感染症)が大流行したが、発症者は高齢者が多く、死者も高齢者がほとんどだった。これも、高齢になると免疫力が低下するからである。
老化にともなう変化がもっともよく現れるのは、T細胞(胸腺=Thymusの頭文字を取りT細胞と命名) である。T細胞は、免疫力の中心的司令塔となる細胞で、骨髄でつくられ、胸腺で異物攻撃の教育を受けて体内に送り出される。T細胞は、NK細胞やマクロファージと違って、もともと攻撃力を持っていない。攻撃すべき相手に合わせて攻撃力を持つ。だから、免疫力の総合司令塔と言えるのだ。
ところが、T細胞の補充はほとんど新生児期にかぎられ、その後は十分に補充されない。
とくに、T細胞の養成器官である胸腺は老化がもっとも早い器官で、思春期がピーク。その後は、萎縮を続けて脂肪細胞に変わってしまう。
こうしたことから、人間は歳をとればとるほど病気にかかりやすくなるのである。