病気は「免疫力」の低下で発症する-1

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{富家孝著・SB新書「死に方」格差社会(本体800円)より}

第3章 「老化」と「病気」は違うもの

病気は「免疫力」の低下で発症する-1

私たちは病気で死ぬのではない。老化して死ぬのである。この辺のところを多くの人が誤解している。
第2章で死亡診断書を取り上げ、「死因」について説明したのでおわかりの人もいると思うが、老化するから病気にかかりやすくなる。そして、その病気が原因となって死亡する。したがって、いくら病気を治しても老化が進めば、私たちは死んでいくのである。
ではなぜ、老化すると病気にかかりやすくなるのだろうか?
それは、私たちが本来持っている「自然治癒力」-(免疫力)が低下するからである。一般的に免疫力は加齢やストレスなどによって低下する。免疫力が低下すると、単純に疲れやすくなる。歳をとると若い頃とは違って、なにをするにもおっくうになるが、それはやはり免疫力が低下したからだ。
人間の免疫力は20歳前後がピークと言われ、40歳からは下降線をたどっていく。このような年齢による免疫力の低下は、残念ながら誰にでも起こる自然な現象であり、これに逆らうことは不可能とされている。
免疫力の低下は、主に私たちの健康を守る免疫細胞(NK珊胞)の減少によって起こる。
NK細胞(ナチュラルキラー細胞) は、ガン細胞を攻撃することでよく知られているが、15歳前後をピークに減少する。また、大食い細胞と言われるマクロファージも減少する。
マクロファージは、白血球の1種で、体内に入ってきた細菌などの異物を捕らえて細胞内で消化する。つまり、体内の清掃屋さんとも言うべき存在で、それが加齢とともに少なくなってしまうのだ。
こうなると風邪やインフルエンザなどのウイルスに感染しやすくなり、さらにはガンや肺炎など生命にかかわる病気も発症しやすくなる。