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{富家孝著・SB新書「死に方」格差社会(本体800円)より}
第2章 死ぬとはどういうことなのか?
死んだら私たちの心はどうなるのか?-1
デジタルでは生き続けられるとしても、それは自分ではない。生命ではない。そこで、やはり気になるのは、私たちは死んだらどうなるだろうか?ということである。
最近は、医者も「死後の世界」に関して大いに興味を持っている。なにしろ、東大出の優秀な臨床医が 『人は死なない ある臨床医による摂理と霊性をめぐる思索』(バジリコ、2011)というベストセラーを書く時代である。この本は新興宗教本という批判もあるが、著者・矢作直樹氏は次のように言っている。
「死は終わりではありません。私たちの魂は永続します。そもそも私たちの本質は肉体ではなく魂ですから、病気も加齢も本当はなにも怖がる必要はないのです」
つまり、死後の世界はあるというのだ。
しかし、死後の世界があるとするなら、医療行為はなんのためにするのか?という疑問に突き当たる。人は死なないのなら、延命治療の意味がなくなつてしまう。つまり、肉体は滅んでも魂、霊は残るというなら、医療は肉体だけを助けるための行為ということになってしまう。
近年、以前に増してスピリチュアルなことに、人々の関心が向くようになった。医学界でも、臨死体験の研究が進んでいる。なにしろ、国際臨死体験学会もできている。これは、医療が進歩したために、蘇生技術が発達し、死の間際から生還する人が格段に増えたからだ。
NHKの番組でも、評論家の立花隆氏をリポーターとして『臨死体験 死ぬとき心はどうなるのか』 が2013年秋に放映されて大きな反響を呼んだ。