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「富家孝著・SB新書「死に方」格差社会(本体800円)」より。
ベルギーとオランダに見る安楽死の現実-1
積極的安楽死、つまり医師の投薬による安楽死を認めている国が世界には何カ国かある。ベルギーもそんな国の一つで、ベルギーでは、2013年には1816人が安楽死を選んでいる。ベルギーの人口は約1120万人。高齢化率も日本よりは低いが20%は超えている。そこで、人口比で考えると日本でもし積極的安楽死が認められれば、毎年約2万人が自殺封助を受けて死ぬことになる。いや、過剰な延命治療が行われている状況を考えると、もっと多くの人が、このような死に方を選ぶかもしれない。
ただし、これは死生観や文化の問題もあるので、一概には言えない。
安楽死先進国ベルギーでは、2014年2月、なんと子供の安楽死まで認める法案が可決された。ベルギーでは、これまで18歳以上の成年に安楽死を認めてきた。しかし、この法案は、安楽死を許可できる最低年齢を定めないとしたのだ。
安楽死といえば、ベルギーよりオランダのほうが進んでいる。オランダでは、親の同意があれば12歳以上の未成年にも安楽死を認めていて、法律が導入された2002年から5人の子供が安楽死を選んだという。ちなみに、世界で安楽死を認めている国は、欧州ではスイス、ルクセンブルクがあり、アメリカでは州によって異なるが、オレゴン州とワシントン州では認められている。
では、なぜこれらの国では安楽死が認められたのだろうか?
オランダを例にとると、オランダでは2002年の法案成立からさかのぼること30年前、1973年に、医師が実の親を安楽死させるという事件が起こり、これをきっかけに国民的な議論が始まった。