食べられなくなって餓死するのが「自然死」-2

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「富家孝著・SB新書「死に方」格差社会(本体800円)」より。
第2章 死ぬとはどういうことなのか?

食べられなくなって餓死するのが「自然死」-2

それでは、「自然死(老衰死)=餓死」とはどのようなことを言うのだろうか?
人間は誰しも死ぬ間際になると物を食べなくなり、水もほとんど飲まなくなる。そして、飲まず食わずの状態になってから1週間から10日で死んでいく。これは飲食しないから死ぬのではなく、死ぬから飲食しなくなるのであり、死ぬ前には腹も減らず、のども渇かないという。こうしてその飲まず食わずになると、人間はそれまで蓄えてきた体のなかの栄養分や水を使い果たし、枯れ木のようになつて死んでいく。だから、自然死は餓死と言うのである。
餓死と言うと、言葉の響きからいって惨めなうえ、飢えと渇きで苦しみながら死んでいくと思いがちだが、実際は安らかな死に方であるという。
その理由は、次の三つだ。
1、飢餓状態になると常にモルヒネのような物質が分泌されて幸せな気分になる。
2、脱水状態になると意識レベルが下がりボンヤリとした状態になる。
3、呼吸が十分にできなくなると体内が酸素不足し、その一方で体内に炭酸ガスが増える。酸栗足は脳内にモルヒネのような物質の分泌を引き起こし、炭酸ガスには麻酔作用がある。
つまり、この三つの作用により、人間ほもうろうとしたまどろみのうちに死んでいく。ガン患者でさえも自然死の場合には痛みを感じず、もうろうとしたなかで死んでいくという。