あくまで医学的に確定される死に方-2

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「富家孝著・SB新書「死に方」格差社会(本体800円)」より。

第2章 死ぬとはどういうことなのか?

あくまで医学的に確定される死に方-2

診断書のポイントは、「死亡の原因」の記載である。それは、次のように、細かく7つに分かれている。
1、(ア)直接死因と発病(発症)又は受傷から死亡までの期間
2、(イ)(ア)の原因と発病(発症)又は受傷から死亡までの期間
3、(ウ)(イ)の原因と発病(発症〉又は受傷から死亡までの期間
4、(エ)(ウ)の原因と発病(発症)又は重傷から死亡までの期間
5、直接死因には関係しないが上記の疾病経過に影響を及ぼした傷病名等
6、手術の有無と手術年月日
7、解剖の有無とその主要所見

なぜこのように細かいかと言うと、厚労省の死因統計に用いられるのが、「原死因」だからである。「直接死因」だけだと、本当の死因はわからない。直接死因というのは、死に至った直接の疾患名で、たとえば、「肺炎」だけの記述だ.と、これは「それまで元気だった人が肺炎を起こして死亡した」ということになってしまう。  」タ
実際は、脳梗塞を5年前に起こし、その後、寝たきりで嚥下障害をたびたび起こしていた。そのため、肺炎を併発して死亡した場合、肺炎だけでは困るというこ七である。
そこで、「脳梗塞後遺症が根本の死因(原死因) である」ということを明確にするため、1の(ア)に直接死因の「嚥下肺炎」と書き、(イ)欄以下に、(ア)の原因として「脳梗塞後遺症」と記述することになる。
こうした書かれた診断書によって、遺族は7日以内に役所に死亡届を提出し、同時に火葬許可申請を行うことになる。こうして、遺体は茶毘に付され、火葬場で火葬許可証に火葬をした旨の印を押印してもらい、それをもって埋葬許可証となり、火葬場で埋葬される。
このようにして私たちの死は、社会的に「確定」されるわけである。