{富家孝著・SB新書「死に方」格差社会(本体800円)より}
死んだら必ず必要になる死亡診断書-1
日本では、人は死ぬと荼毘(だび)に付される。荼毘とは、死者を火葬にすることである。日本では火葬が代表的なので、このとき必ず死亡診断書が必要になる。つまり、私たちの死は死亡診断書をもって確定するのだ。
あなたは、これまでご自身の死亡診断書がどのように善かれるか、想像したことがあるだろうか? 死を想像しても、まさか、死亡診断書のような具体的なことを想像したことはないと思う。
たとえば、ガンで衰弱して自宅で死亡Lたケースでも、明らかに病死であることを証明できるものがないと、遺族はいらぬ疑いをかけられることがある。動けない高齢者に食事を与えずに死亡させたのではないかと疑われ、保護責任者遺棄致死等に問われる場合が考えられる。つまり、事前に受診している医者がいない、治療が継続中でない場合は、ほぼ確実に警察が入って「異状死」ということになってしまうのだ。
これは、死亡の因果関係を医者が十分に判断できないと考えた場合は、異状死とすると決められているからである。こうなると、遺体は警察に検視を受けることになる。
突然、心肺が停止して119番通報して救急車で病院に行った場合も、同じプロセスになる。検死後は監察医により、死亡診断書の代わりに死体検案書が作成される。
というわけで、自宅で死にたい、できれば自然におだやかに死にたいと願っていても、最終的には医者のお世話にならなければならいことを知っておいていただきたい。