東京に住む高齢者は地方に移住せよー2

{富家孝著・SB新書「死に方」格差社会(本体800円)より}

東京に住む高齢者は地方に移住せよー1

移住候補地として挙げられたのは、函館、青森、富山、福井、岡山、松山、北九州など一定以上の生活機能を満たした地方都市だった。過疎地城は、移住先候補からは外された。しかし、観光地としても有名な別府や宮古島島などは入っていた。
この構想が発表されると、即座に候補地から反発の声が上がった。たとえば、和歌山県の仁坂吉伸知事は「移住者が所得をあげていたときの税金は全部、東京都に入っでいる。
それが地方に移らないと財政が維持できない。負担の押しっけで、東京のことしか考えて いない」と反発した。
高齢者の地方移住は、地方を「姥捨(うばすて)山」にする政策ではないかというのだ。
もし、あなたが雲に住んでいるとしたら、この先、病院にもホームに入れないからと、地方に移住するだろうか?
日本創成会議の提案は、いみじくも、今後の私たちの死に方が大いなる危機にさらされこれまで、私たちは、東京がいちばん便利で安心して暮らせるところと思ってきた。しかし、事実は逆で、歳をとったら東京は便利でも、安心して暮らすことはできないのである。まして、多くの人が望む理想的な死に方など、できようがないのだ。
「在宅介護」を促進し、「自宅死」をしてもらうという国の政策はけっしていい政策とは言えない。高齢者には過酷な政策である。
しかし、財政赤字でこのような選択肢しかなくなってしまった以上、私たちはそれを受け入れ、悔いなく死ねるように、いまから死に方を考えていくしかない。