{富家孝著・SB新書「死に方」格差社会(本体800円)より}
TPPによって「混合医療」が解禁されるとー3
これらは、安全性や有効性が確認されるまでは、保険が適用されない。しかし、効果が認められれば保険適用の対象となり、そうなれば、医療費も全額負担から3割負担に下がる。しかし、混合医療になると、こうしたメカニズムが働かなくなる。先進治療は先進治療のまま。高額のままにされるのだ。
当然のことながら、自由診療の病院が増え、その結果、全体の医療の質も低下し、病院による患者の選別も行われるようになる。おカネのある人とない人では、受けられる治療に決定的な差がついてしまうのである。いつでも、どこでも同じ治療が受けられる国民保険制度は骨抜きにされる。
昔は、いまでは一般的に行われているCT検査もMRI検査もなかった。腹腔鏡手術もなかったので、臓器のガン手術はほとんどが開腹手術
だった。しかし、これらは保険適用になって普及した。しかし、混合診療が解禁になれば、こうした最新の治療は帰って、一般国民のものにならなくなる可能性が高まるのだ。